「ファンタジーを聞かせて」

そんな風に始まるベッドストーリーが大好きだ。

たいていが、二度や三度体を重ねていて、まぁまぁその体を知っていてだけど知り尽くしていないから、

無責任な期待に、何の責任もない自由に、どうせどのアフェアも同じような感じに終わることはすっかり忘れて、

程よい体温と、湿った唇に、これ以上ない満足とくすぶった欲をもう一度沸かせて、尋ねる。

 

ファンタジーを聞かせて

 

いろんな男のファンタジーを聞いた。どの男もいとおしいと思うのはそんな時だ。

ワイルドに振る舞っても、どれもこれも変わり映えのしないどこかで見た聞いたそんなファンタジーばかり。

みぞおちに重いパンチを叩き込むような、脳の芯が感電するような、

そんな話なんて聞いたことがない。

男のファンタジーはいつも最後は自慢話で締めくくられる。

 

それもいい。

次のベッドの期待があるうちは、私は従順で腹にマグマを秘めた甘い女であり続ける。

けなすような言葉でだけど自尊心をくすぐる、「あなたは特別」その言葉だけ言えばいい。

 

そうやって彼はもう一度、萎えた肉に鞭を入れる。

飽食の後の倦怠を脇に押しやりどこかしら義務のような感じで彼は二度目を始める。

それはまるで昨夜の情熱と違う。酔いも暗闇もマジックも堰を切る浴場も手に入れる興奮もない。

すでに差し込みつくしたであろう、隣の裸の体にもう一度手を伸ばす男の横顔に彼の本質を見る。

勢いだけじゃない、倦怠だって私にはまだ、美味しい。

ダウンライトに照らされた昨夜の乳房は、朝の光の下ではどうかしら。

私は自分を悪趣味だと思う。違う、どんなふうにも味わいたい、彼を。

すぐに硬くならないのだって私は愛せる。マジックが消え去った後の惰性の一発、これで飽ききる朝の一発、

つくづく私は悪趣味だ。

なぜ見せる?彼は見たくないといっているのに。

だってまだ飢えているから、違うフェーズで楽しみたいから、昨日と違う彼を見たいから。

がっかりする男の姿を?

終わったらすぐにシャワーに行くであろう姿を想像しながら、彼の重みを感じるのはやっぱり最高だ。

早く出て行って。いらないような感じで、ほっとするような感じで、明るすぎる笑顔で玄関を、そうしたらまた欲しくなるから。

 

私ってやっぱりそこにないものが欲しい。

想像の余地を、湿ったシーツで一人眠る安心感を、彼は残してくれるから。

私ってやっぱりイージーだ。それは私が最も望むこと。誰でもいい、誰もがいい。通り過ぎる人が好き。

それでも印象を残す男が好き。彼の色彩が好き。結局彼は優秀だ、私の望みを演じるのだから。

そんな風に、そんな男たちは、ときどき私の部屋を訪れる。私の求めるように、思いやりを持って他人であり続ける。

 

やっぱり私は悪趣味だ。

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